ICL(フェイキックIOL)とは?
「ICL」とは、implantable contact lens(移植可能なコンタクトレンズ)の略で、視力を矯正するために目の内部に挿入する特殊な眼内レンズの一種です。
また、「フェイキックIOL」とは、ICLのような眼内レンズを使用した視力回復方法の総称です。フェイキックIOLに、ICLを使用する場合は、「ICL」が、術式名や視力回復方法そのものを示すこともあります。
ICL・フェイキックIOL(眼内レンズによる視力矯正)の主な特徴
- 角膜を削る必要がない
- 手術の際の傷が小さい
- 強度の近視や乱視も矯正可能
- 視力の回復度・安定度が高い
目に対する負担の少なさや、手術後の視力安定度の高さから、ICL(フェイキックIOL)はレーシックに代わる視力回復方法として注目を集めています。本特集では、ICLの手術や安全性、費用やメリット・デメリットを詳しく解説します。
眼内レンズには2種類ある-後房型レンズと前房型レンズ
眼内レンズを使った視力回復手術は、総じて「フェイキックIOL」と呼ばれますが、使用する眼内レンズによって呼び名が変わります。前房型のレンズを使用する場合は「前房型フェイキックIOL」、後房型レンズ(ICL)を使用する場合は「後房型フェイキックIOL」。また、後房型レンズ(ICL)を使用する場合には、レンズの名前をとって「ICL」と称する場合もあります。
フェイキックIOL
眼の中に眼内レンズを挿入して視力を矯正する方法
前房型レンズ
角膜と虹彩の間に入れる眼内レンズ。白内障治療で用いられるレンズと同じ素材でできている。「アルチザン」「アルチフレックス」など。手術は片眼ずつとなる。
後房型レンズ
水晶体と虹彩の間に入れるレンズ。コラーゲンを含んだ素材でできており、生体に適合しやすく、炎症やレンズのくもりが起きにくい。ICLは後房型レンズ。ICLの中にも、通常のICLと「ホール(穴あき)ICL」が存在する。両眼同時の手術が可能。
後房型レンズ(ICL)と前房型レンズを比較すると
後房型レンズ(ICL) | 前房型レンズ | |
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切開の傷 | 折りたたんで眼内に挿入。傷口が小さくてすむ | 種類によっては折りたたむことができず、ICLよりも傷口が大きくなる |
手術後の外観 | 虹彩(黒目の部分)の内側に挿入するため肉眼では見えず、見た目の違和感がない | 虹彩(黒目の部分)の外側に挿入するため、コンタクトレンズのように肉眼で確認できる |
手術後のリスク | 水晶体に近い位置に固定するため前房型レンズよりも白内障リスクが低い。レンズが角膜と接しないことから角膜内皮障害のリスクも低い | 水晶体から距離があるためICLよりも白内障リスクが高い |
眼内レンズの安全性 | 厚生労働省とアメリカのFDA(厚生労働省に相当)により認可 | 厚生労働省の認可はない。 ※FDAは認可済み |
費用 | 50万~100万円 | 40万~100万円 |
ICLの手術とレンズの安全性・費用
ICLの手術を受ける際は、最初に適応検査を行います。適応検査で問題がなければ眼科のほうでICLを発注します。通常、レンズが届くまで1ヶ月~3ヶ月程度かかるため、手術を受ける時期を考えて検査を受けましょう。
ICLでは、手術の数週間前~当日の間に虹彩(黒目の部分)を切開します。レンズ挿入後に目の中の水の流れが滞らないようにするための処置です(穴あきICLの場合、虹彩の切開は不要)。
レンズが到着した段階で、手術日を決定します。手術時間は10分~20分程度。傷口が小さいため、術後は1時間ほど様子を見て異常がなければ帰宅することができます。
【手術前】 検査~レンズが届くまで1ヶ月~3ヶ月
- 検査
- ICLの発注(1ヶ月~3ヶ月程度)
- 手術日の数週間前~当日に虹彩に穴をあける(穴あきICLの場合は不要)
レンズが届くまで時間がかかるため、手術の時期をよく考えて検査を受けましょう。
【手術当日】 手術時間は10分~20分
- 点眼麻酔をする
- 角膜を約3mm切開し、ICLを折りたたみながら挿入する
- 虹彩と水晶体の間にICLを固定する
傷口が小さいため日帰り手術が可能。
眼内レンズは安全?
ICLは「コラマー」と呼ばれるコラーゲンを含んだやわらかい素材でできた眼内レンズです。眼内に挿入されると、レンズに含まれるコラーゲンが体内の淡白糖と結合し、レンズ表面に膜を形成します。この膜により、ICLは体に異物として認識されにくく、炎症や眼内レンズのくもりが置きにくいとされています。そのため、特別なメンテナンスをすることなく、長期間にわたって安定した視力を維持することができます。
誰でも手術を受けられる?
ICLの手術が受けられるのは、白内障になるリスクの少ない21歳~45歳までとされています。 年齢には制限があるものの、角膜の厚みが不足していてレーシックを受けられない人や、強度の近視・乱視の人でも手術が可能です。
ICLの費用
ICLの費用は、眼科によって異なるものの、おおよそ50万円~70万円です。乱視の場合は、乱視用のICLを使用するため、費用が高くなる傾向にあります。
穴あきICLは、病院によって通常のICLと同額である場合と、やや高額になる場合とがあります。
参考
- ICL(乱視なし) 45万~60万円
- ICL(乱視あり) 60万~70万円
- 穴あきICL(乱視なし) 60万~70万円
- 穴あきICL(乱視あり) 60万~70万円
ICLのメリット・デメリットをレーシックと比較
ICLのメリットは?
ICLのメリットは、目への負担が少なく、術後の視力の安定度が高い点です。また、レンズを取り出せば、眼を元の状態に戻せる点もICLのメリットと言えるでしょう。
術後の後遺症リスクが低い
レーシックでは、フラップ(フタ)作成のために、約15mmほど角膜を切開するが、ICLで切開するのは3mm程度。傷口が小さいため、術後にドライアイやハロ・グレアなどの視覚障害が起こる可能性が低い
角膜の薄い人、強度近視・乱視の人も視力回復可能
角膜の薄い人は、角膜を削るレーシック手術を受けることができない。強度近視・乱視の場合も角膜を多く削る必要があり、場合によっては不適合となる。ICLは角膜を削らないため、手術の可否が角膜の厚みに左右されない。強度近視・乱視の場合にも高い視力回復実績を持つ。
矯正精度が高い
水晶体に近いところにレンズを固定するため、術後の視力回復度・安定度がレーシックよりも高い。また、術後に再び視力が低下する「再近視化」も起こりにくい。
術後の経過により、レンズを取り外すことができる
角膜を削ると元に戻すことはできないレーシックと異なり、ICLは術後の経過によって他のレンズに取り替えたり、レンズを取りはずして元の視力に戻ることができる。
ICLのデメリットは?
ICLのおもなデメリットは、費用が高い点や白内障のリスクなどです。
費用が高い
ICLの現在の費用は、病院やレンズによって多少異なるが、大体50万円~70万円程度。8~20万円前後のレーシックと比較すると費用は高め
レンズが届くまで時間がかかる
ICLは、適性検査後、レンズが届くまで、通常のレンズであれば1ヶ月程度、乱視用のレンズは2ヶ月~3ヶ月程度かかる。この期間を計算して、余裕を持って検査・手術を申し込むことが必要
白内障発症のリスクがある
水晶体に近いところにレンズを挿入すると、まれにレンズと水晶体が干渉し白内障を誘発する場合がある。白内障になった場合には、一度レンズを取り外し、白内障の治療を行う(発生率0.4%) また、レンズの挿入により、眼の中の水の流れが滞り、眼圧が上昇するケースがある。眼圧上昇のリスクを減らすため、ICLでは虹彩(黒目の部分)を切開する。レンズに穴の開いた「穴あきICL」を使用する場合は、虹彩切開の必要がない
目に対する負担の少なさと、視力の回復度・安定度は、ICLの大きな魅力です。
費用は高めになるものの、角膜の厚み不足や強度の近視・乱視のためにレーシック手術を受けることができない人にとっては、ICLは有力な視力回復方法の一つとなるでしょう。
≪ ICL(フェイキックIOL)を実施している代表的な眼科 ≫
実施院 |
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札幌院、新宿院、名古屋院、梅田院、三宮院、福岡院 |
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東京 |
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東京(新宿) |
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