角膜内リング(ICRS)とは?

角膜内リング(ICRS)とは、角膜の形状を平らにする特殊なリングのこと。手術で使用するリングを指す場合と、リングを装着する手術そのものを指す場合の2つがあります。

*ICRS・・・Intrastromal Corneal Ring Segments(角膜内に装用する弓形リング)

角膜内リングの手術は、術後に軽度の視力回復効果が見られますが、主には「円錐角膜」の治療を目的として行われます。
ここでは、角膜内リング手術の流れやメリット・デメリット、角膜内リングの手術を実施している眼科をご紹介します。

コラム 円錐角膜とは?

円錐角膜とは、角膜が薄くなり、眼圧に耐えられなくなった角膜の薄い部分が眼の前方に突出する疾患です。原因は明確には特定されていませんが、遺伝的な要因や目をこすることにより角膜がダメージを受けることが理由と考えられています。

男性

初期症状としては、角膜の歪みによる視力の低下、強度の乱視、角膜の濁りなどがあり、症状が進んだ場合、激しい目の痛みや角膜との形状不一致によるコンタクトレンズの装用困難などが起きます。円錐角膜は、放置した場合、失明の恐れもあるため、処置をしっかりと行うことが大切です。
発生確率は、軽度のものも含め、1,000~2,000人に1人と言われています。

治療法は角膜移植、角膜内リング、さらに近年開発された角膜クロスリンキングの3種類。角膜内リングがアメリカで承認を受けた2004年までは、円錐角膜の有効な治療法は角膜移植しかありませんでした。しかし、角膜移植よりも手術部位(切開面等)が少なく、拒絶反応などのリスクもない角膜内リングが発明されたことで、円錐角膜治療の精度は大きく向上していると言えます

角膜内リングの手術の流れ

角膜内リングの手術では、まず角膜の表面にリングを挿入するためのトンネルを作り、角膜の一部を切開してトンネル内部に角膜内リングを通します。その後、切開面を縫合し、消毒、終了です。(※眼科によっては手術後に角膜保護用のコンタクトレンズが処方される場合もあります。)

参考 角膜内リングの手術方法│医療法人 すぎもと眼科

眼鏡

角膜内リングは、装着することで突出している角膜を平坦化し、円錐角膜により引きおこされる近視・乱視や円錐角膜の進行を抑えることができます。前方に突出した角膜が、をリングによって平坦化されることで、乱視や近視・目の痛みなどの様々な症状が軽減されます。

角膜内リングは、トンネル作成時にイントラレース社の「フェムトセカンドレーザー」というコンピュータ制御されたレーザー照射機器が使われるケースもあります。個人の角膜の形に合わせてコンピュータがレーザーを照射するため、より精密で安全にトンネルを作成することが可能。イントラレース社のレーザーを使用した角膜内リング手術は「イントラ角膜リング」と呼ばれます。
ただし、円錐角膜が進行し、角膜が薄くなりすぎていた場合は、角膜内リングの手術は受けることができません。

角膜内リングのメリット・デメリット

角膜内リングのメリットは、レーシック手術が受けられない円錐角膜の人でも、軽度の視力回復を期待できる点です。また、切開部分が少ないため、感染症や合併症のリスクも低くなっています

一方、角膜内リングのデメリットは、手術費用が高額である点と、視力回復の効果が限定される点です。みなとみらいアイクリニックが公表しているICRSの視力回復効果は、裸眼との比較で0.1~0.2以内に納まっており、レーシックのような劇的な視力回復効果はありません*。しかし、手術後はコンタクトレンズや眼鏡による視力矯正が可能になるため、日常生活に困ることはないでしょう。また、眼科によっては、眼内レンズ・フェイキックIOLと角膜内リングの併用をすすめています。

参考 *ICRSによる裸眼視力の回復例│みなとみらいアイクリニック

角膜内リングのメリット

  • 円錐角膜の人が利用できる
  • 円錐角膜の進行を遅らせることができると考えられている
  • 感染症・合併症のリスクが低い
  • 万一の場合リングを取り出すことができる
  • 手術時間が短い(片目20分程度)
    ※基本的には日帰りで手術が可能だが、局部麻酔ができない場合は入院するケースも

角膜内リングのデメリット

  • 視力回復効果が限定される
  • 費用が高い
    …最低費用50万程度、健康保険適用外。※角膜クロスリンキングも同様。角膜移植は手術費用については保険適用が可能だが、角膜を輸入する場合は輸入費用として40万程度が必要(※費用は眼科により異なる)。
  • 視力回復に時間がかかる
    …3~6ヶ月かけて徐々に回復

角膜内リングに対応している眼科

ここでは、角膜内リングを実施している眼科をご紹介します。
手術をする場合は、手術後の保証や定期検診をしっかりと行っている眼科、治療実績の多い眼科を選びましょう
また、角膜内リングでは、事前の適応検査が必要です。角膜内リングを考える場合は、まず眼科で相談しましょう。

≪ 角膜内リング対応眼科 ≫

神戸神奈川アイクリニック

神戸神奈川アイクリニック・画像

費用
両眼78万円(税込)
保証期間
1年間
定期検診
手術翌日、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後
※1年経過後も必ず年1回は検診に行くこと

品川近視クリニック

品川近視クリニック・画像

費用
両眼506,520円(税込)
保証期間
1年間
定期検診
翌日・(3日後)・1週間後・(2週間後)・1ヵ月後・(2ヵ月後)・3ヵ月後・6ヵ月後・1年後

新宿近視クリニック

新宿近視クリニック・画像

費用
片眼348,000円(税込)
両眼696,000円(税込)
保証期間
1年間
定期検診
手術翌日、1週間後、3週間後、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後

まとめ

角膜内リングについて、お分かりいただけたでしょうか?

角膜内リングは、費用が高額になっていますが、円錐角膜の人でも受けることができる視力回復手術として大きな魅力があります。
さらに円錐角膜の進行を抑える効果があると言われていることからも、角膜内リングの手術を受ける意味は大きいと考えられます。

円錐角膜の人は、まず眼科で適応検査を受けてみてはいかがでしょうか。

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